Dream*1 ページ3
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「阿部くんってほんと癒しだよね。」
「分かる、同じ部署の人羨ましいよね。」
「付き合ってる人とかいるのかな。」
「社内にいるって噂聞いたことあるよ。」
「え、ほんとに?」
「同じ部署なんじゃないかって言われてる。」
「誰だろ…気になるね。」
昼休みの社員食堂。
女性社員たちのそんな会話が隣から聞こえてきて、目の前に座る同期の楓が私を見てニヤニヤしてる。
阿部亮平。
彼はうちの会社で人気がある新入社員。
1年目とは思えない営業成績とそのルックスで、入社して半年が経つ頃にはすっかり社内の有名人になっていた。
特に女性社員からの人気が凄まじくて、ファンクラブがあるなんて噂もある。
阿部くんを一目見るために、わざわざ階が違う部署を覗きに来る人だっている。
私は同じ部署だし、席も近いからその光景を何回も見てきた。
そんな阿部くんは…
「ここにいるのにね、その彼女。」
「ちょ、楓!聞こえるって!」
一応、私の彼氏である。
「いいじゃん別に。」
「いや、よくないわ。」
遡ること2ヶ月前。
きっかけは去年のクリスマスの時期。
“阿部くんと付き合ったら、色んな知識が増えて賢くなれそうだよね。”
営業を終えて阿部くんと帰る途中、すれ違うカップル達を見て私が発した一言だった。
“じゃあほんとに俺を彼氏にしてみますか?”
阿部くんから返ってきた返事はまさかの言葉。
その提案を断る理由もなく、今に至る。
あれから早2ヶ月。
恋人たちの一大イベントであろうバレンタインも無事に終えたし、私たちの交際はそこそこ順調だと思う。
…私がある問題を抱えていることを除いて。
「なんで隠す必要があるの?」
「そりゃバレたら私が会社に居ずらくなるからでしょ。」
私と阿部くんが付き合ってることは絶対に秘密。
知ってるのは楓だけ。
阿部くんにもこのことは了承してもらっている。
「私だったら言いたくなっちゃうけどな。自分の彼氏が社内の人気者だなんてさ。」
私だって言えるなら言いたいよ。
阿部くんは私のものだよって言いふらしたい。
どれだけ周りの女の子たちが騒いでも、どれだけ必死にアピールしても、阿部くんが好きなのは私なんだよって言いたいんだよ。
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作者名:夏目 | 作成日時:2024年3月26日 17時