【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ17)

今日:50 hit、昨日:87 hit、合計:30,287 hit

意地悪ページ17

▼

「ゾム。お前、意地悪したんやろ。」

コネシマは、ぴしゃりと静かに言い放った。責めているというよりは、あーあー、やってもうたなぁ？と後に続きそうな、窘めるようなニュアンスのものだった。コネシマらしい反応といえばらしい気がする。それに対して、ゾムはぷいとそっぽを向いていた。

「大先生やろ、チクったん。」

面白くない、と態度で示しているのを見てAは不思議だった。だって、若頭であるコネシマは、少なくともAの護衛であるゾムよりも偉いはずなのに、ゾムはコネシマに一切敬語を使わないし、コネシマもそれに対して一切咎めたりしない。ゾムとの関わり方に説明書があったら良いのに、なんて考えているAからしてみれば、ゾムにそこまで仲の良い人がいることが信じられなかった。

「まぁ、金出してやるから。どっか外出て仲直りしてこいよ。」

コネシマは、ゾムのボヤキに答えなかった。その代わり、ポケットからいくらかお金を取り出してゾムに渡す。昨日の今日でふたりきりにされるのは正直嫌だったから、じゃあな、と手を振ってその場を去ってしまったコネシマの後ろ姿が恋しく思えた。
コネシマが去ってからしばらく気まずい時間が流れる。ゾムはそんなの知りませんと言わんばかりにスマホを触っていた。早くどこかに行ってくれ、真面目にそんな言いつけ守らなくてもいいから！そんなふうに考えていると、パッと顔を上げて言った。

「行こ。焼肉。」

ゾムの口から簡潔に告げられたのは、ご飯の話だった。や、焼肉ですか、と思いながらも、とりあえず頷いておく。嫌って訳じゃないけれど、あまりに唐突すぎたから、嬉しいってほどでもない。断ろうにも、さっさと先を歩いてしまうものだから、ただついていくほかなかった。

.