【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ3)

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むず痒いページ3

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降りた先には、ねずみ一匹入ることも出来ないような大きな門に、雄大な松の木がそびえ立っており、小石の敷き詰められた道の先には立派な日本家屋があった。祖母の家はこじんまりとしていたし、地域で一番大きい家も目の前の家に比べてしまえば何分の一なのかというくらいちっぽけなものだった。目も眩むような豪奢な家に、田舎娘が気圧されるのは普通のことだろう。

「親父、今日を楽しみに待ってましたよ。」

シャオロンはそう言うと、中に入るよう促す。Aはそれに曖昧に頷いた。本当にそうなのかな、なんて疑うような考えがよぎってしまったのに気付いて、申し訳ない気持ちになった。止まりそうになる足を踏みしめて、前を向いて歩き出す。

数年ぶりに会う父親との再会は、なんとも呆気ないものだった。ヤクザの組長だというから、どんなに怖い人かと思っていたけれど、案外優しい顔で、普通の人だったと思う。顔を見た瞬間から酷く嬉しそうにしていて、父親だというのにむず痒いような変な感覚があった。
同じ家に居ても忙しくて会えないことの方が多い、と聞いてむしろホッとした自分がいる。それが良いことなのか悪いことなのかは、はっきり区別しない方がいいのかもしれない、と考えないようにした。

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