【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ23)

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捜査の基本ページ23

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祖母と観ていた刑事ドラマで、よく言っていたセリフを思い出す。"捜査の基本は聞き込みから"と。もちろん、本人にバレては意味が無いので、こっそり。人目を憚りながらの情報収集に努めることが大事なのだ。

「えーっ？ゾムの弱点？」
「声！⋯⋯もっと小さく！」
「うーん⋯⋯。」

まず、第一の証言者は鬱。Aが鬱を真っ先に選んだのには理由がある。鬱は、Aの話を聞いてくれる人だということ。また、ゾムに首根っこ掴まれて連れてこられるくらいには親交がある人だということ。そして、ちょうど良く適当な人であるからだ。何かしら情報を落としてくれるだろう、そう確信していた。
春を過ぎ、初夏に入りつつある空を眺めながら、鬱はうんうんと唸る。しばらく考えてから、ぽつりと言った。

「そういや俺あんまゾムのこと知らんな⋯⋯。」

Aの期待は大ハズレ。よう分からんわ、と言ってのけた鬱に、Aは隠し切れずに残念という表情をして、取り敢えずのお礼を言った。
残念ながら、第一の証人からは重要な情報は何一つ得られなかった。しかし、Aはまだ諦めない。こんなところで諦めては、刑事の名折れ。Aは女子高生であって刑事ではないのだが、今の心はすっかり優秀な刑事なのだった。今のAにティーセットを渡したら、きっと高い位置から紅茶を注いでしまうだろう。

「なんかおもろそうなことやってんなぁ！」
「内緒ですよ。」
「おん、分かっとるよ！」

次に、第二の証言者はコネシマ。コネシマがゾムと仲が良いのはもちろん、上司であるからこそ知っている弱点があるはず。通りやすい声をしているから、あまり大きな声で言わないで欲しいのだけれど、コネシマに一切悪気がなさそうなのが難点だ。コネシマもちょくちょく心配してくれたり、彼なりに親身になってくれている感じがするので、きっと何かしらの情報を提供してくれるだろう。

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