【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ24)

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あんぱんと牛乳ページ24

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コネシマは、軽く顎に手を当て考える。そして、さほど間を開けずに言った。

「せやなぁ。」
「はい。」
「アイツ、結構暴れ回ってた時期とかあってここの奴らに認められてるくらいには相当な実力者なんやけど、責任問題問われたない、言うて昇進断り続けた結果、お嬢付きになってん。」

最初に浮かんだのは、これは本当に弱点なのだろうか、という疑問だった。むしろ、そんな人をどうして付き人にしようとしたのか分からない。暴れ回っていた人は女子高生につけるには適切だとは言えないし、百歩譲って女子高生ひとりに付けるにしても持て余しすぎではないだろうか。

「ええと、他には？」
「あー確かトマトとか赤くて丸いもんは嫌いって言ってたよ。うん。」
「そう、なんですか⋯⋯。」

正直なところ、これもハズレだった。そんな弱点を聞いても、あんまり意味が無いというか。Aが料理をする訳でもないのに、突然トマトだけを買ってくるのも変な話だし、きっとトマトが食べられるくらいで一矢報いるようなことは出来ないだろう。別に使えるような情報ではない。
ありがとうございます、とお礼を言って、踵を返す。また別の証言者を探さなければならない。
捜査において地道な聞き込みは付き物。簡単には諦めない。張り込みはしなくとも、祖母と一緒にドラマを見ながら食べたあんぱんと牛乳の味を思い出していた。

「ゾムの弱点か。」
「はい、何か知ってたらで良いんですけど。」

第三の証言者はシャオロン。選んだのは、人懐っこい笑みが話を聞いてくれそうな印象だったというだけの理由だ。ゾムと親交があるかどうかはよく知らないが、知っていたらラッキーくらいの感じで。
シャオロンは、ニヤニヤと堪えきれないように笑うと、声色に邪悪さを混ぜて答えた。

「知ってますよ。」
「それは、何ですか⋯⋯？」
「えろ小僧。」

Aは戸惑った。そりゃあ、大人にそんなことを言われたら、純粋な女の子は戸惑ってしまうに決まってる。

「え、え⋯⋯？」

脳はローディング中でくるくると何度も円を描いていた。聞き馴染みのない単語を突然言われたって、そんなにすぐには理解出来ないだろう。それも、自分から縁遠い単語であればあるほど。シャオロンは楽しそうに笑っている。

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