【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ28)

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知らぬが花ページ28

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一通り探しても見つからず、内心焦りながらも、家の中にはおらんのやろか、ととぼとぼと歩いていたときだった。
ガラクタばかりが眠っている倉庫から、ゾムが出てきたのをちょうど見ていた。なんであんなとこに。そう思いながら見ていると、それに続いてAが出てくるではないか。その瞬間、シャオロンは大きく息を吐いた。もちろん、無事で良かった、という安堵からくるものだ。
そして、それを隠すように意気揚々とゾムに声をかける。

「おいゾム〜！お前あんな狭くて暗いとこに連れ込んで何しててん！ほんまえろ小僧やな〜！」

ゾムはシャオロンに突然肩を組まれ、驚いたかと思えば、揶揄われていることに気付いて苦虫を噛み潰したような顔をした。
シャオロンは、ゾムのことを揶揄ってはいるものの、お嬢についていてくれて良かった、と感謝すらしていた。シャオロンが責任を負うような必要が無くなったからだ。
奴が、Aを誘拐した張本人とも知らずに。

それからというもの、Aはゾムに違和感を覚えていた。明らかに、前とは違う。何が変わったかというと、Aとの距離感だ。前までは頑なに一定距離を保っていたというのに、今となっては。

「あの、ちょっと。」

車の後部座席に座っていても、そっちのスペースはまだ空いているはずなのに、ゾムは真ん中寄りに座っている。そうすると、必然的にAと距離が近くなり、急なカーブを曲がったりなんてしたら、身体が傾くと知っているはずなのに、最初の頃に比べるとだいぶ近づいてしまっていた。

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