【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ32)

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アイスページ32

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あれにしようか、これにしようか。Aはしばらく悩んでいた。幸い財布の中身は潤っており、そこまで大きいものでもなければ、家具家電でも買うことが出来そうな状況。うーん、と小さく唸りながら、同じところをもう一周し始める。
近くのデパートは、空調が効いているおかげで外はカンカン照りでも、中はひんやりと涼しかった。あまりの涼しさに、長時間いると半袖では風邪をひいてしまいそうになるくらい。
Aは、ある作戦を考えていた。それは、仕返しというよりは、ただの嫌がらせに近い。ゾムの好きじゃなさそうなものをプレゼントするのだ。それがAからの善意であれば、受け取らないことはないだろう。
これだと思えるような良いものを見つけるのに、少々時間はかかってしまったが、無事なんとかプレゼントを購入することが出来た。ゾムがどのような顔をするのか、想像して口角が上がった。

外は溶けそうなくらい暑くて、ひえひえのデパートから出たときは暖かいくらいだったのに、少し歩いただけで肌を伝う汗が沸騰しそうだった。あまりの暑さに、近くにあった自動販売機に吸い込まれるように近づいていく。そこにはカラフルなアイスの写真がずらりと並んでいて、どれも外の気温とは違って涼やかに見えた。
Aは、まだお金もあるし、と財布を取り出し、数ある中で一番さっぱりしていそうなソーダアイスのボタンを押した。カタン、とアイスが落ちてきて、受け取り口から取り出す。我慢できずに急いで包装紙を剥ぐと、そのまま口の中に突っ込んでしゅわしゅわと溶ける感覚を楽しんだ。

「生き返るー⋯⋯。」

額に浮かんだ玉のような汗を拭う。あまり行儀は良くないが、アイスを食べながら帰ろう、そう思って歩き出したときだった。

「ねぇ、金ある？」

声をかけられた、と思ったら、ガラの悪いいかにもな感じの不良三人に、囲まれる。ニコニコと笑っているというのに、圧迫感が強くてフレンドリーさは一切感じられなかった。
驚いて、喉が引き攣りながらも答える。

「な、ない、です。」

慌てて、財布をポケットに押し込んだ。少なくとも、不良に渡すためのお金は一円もないのだ。コネシマは、不良に渡すためにお金をくれたわけじゃない。

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