【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ43)

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エピローグページ43

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再び桜が咲いた頃、春の陽気に包まれてAは高校二年生になる。一年前と同じように、デパートに買い物に来ていた。もちろん、ゾムも一緒に。
一年前のことを考えていて、ゾムに冷たい口調でにべもなく断られたことを思い出した。そういえばあれから一度も乗ったことがなかったなと思い、リベンジしようと試みる。

「ゾムさん。私、屋上の観覧車乗りたい。」

Aがそう言うと、ゾムはムッと口を噤んで、あからさまに嫌そうな顔をした。それで、しばらく目線を左右に泳がせてから口を開く。

「俺高いところ嫌や。」

Aは、それを聞いて目を丸くした。ゾムが高いところが苦手だなんて、知らなかったから。ゾムとは、この一年間何度もぶつかり合って、間違いながらも一緒に歩んできた。一年一緒にいても、知らないことはまだまだあるものだ。前はもっと冷たく断られたと思うし、それに何とかして勝てないかと弱みを探していたこともあった。それも、今となっては思い出だ。

「そっか。じゃあ、帰ろう。」

Aは微笑んでそう言った。一矢報いてやりたいだとか、やり返したいだとかそんなふうに思っていないAにはもう、弱点なんて必要ない。彼は、友達とも家族とも違う、唯一無二の大切な相棒だ。
ピカピカに磨かれた靴が、足下で光を受けて今日も輝いている。

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