【d!】蛇とイチゴ【zm】 (ページ8)

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年上ページ8

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「そんなんで足りるん？」

ゾムはAのポテトとドリンクどっちも一番小さいサイズのものを見てそう言った。対するゾムのお盆にはハンバーガーが二つと大きいサイズのジュース、それにポテトまでついている。Aは私が出しますよ、なんて得意げに言ったのに、財布の中身がごっそりと減ったことのちょっとだけしょんぼりした。
だって、お茶するだけならワンコインより少し多いくらいの目算だったのに、ゾムがガッツリ食べるとは思わなかったため、予想以上にお金を使ってしまったから。

「たくさん食べちゃったら、せっかくご飯用意してもらってるのに入らなくなっちゃうじゃないですか⋯⋯。」

Aがそう言うと、ゾムは特に何も言わなかった。それどころか、むしゃりとハンバーガーに食いついておいしそうに食べている。
Aの好きな食べ物ランキングで見事殿堂入りを果たした不動の一位である祖母の煮物には負けるけれど、こっちのご飯も作ってもらえるものは全ておいしい。きっと残したって怒る人はいないと思うが、それはそれとして作ってもらったものを残すなという教えは大事なことだ。
祖母のようにお夕飯前にお菓子を食べると怒ってくれる人はいなくて、それくらいは自分で管理しなければならない。

「少食なんや。」
「え？ううん、大人の男の人に比べたら、そうかもしれません。」
「ふーん。」

Aがちまちまとポテトをつまんでいる間に、ゾムはあっという間にハンバーガーをふたつとも平らげる。ふたつも食べたらお腹いっぱいになるだろうと驚いて見てみるも、相変わらず表情が分からなくてどんな感情なのか読めなかった。少なくとも、ひょいひょいとポテトが消えていく様子から、満腹ではなさそうだということくらいしか分からない。

「ていうかお嬢、なんで敬語使ってんの？」
「えっ。」
「なんで？」
「いや、あの、だって、ゾムさんの方が年上じゃないですか。」
「あー。」
「そう、ですよね？」

ゾムの年齢なんて聞いていないけれど、どう見ても年上のはずだ。同い年の子と比べたら全然違うので絶対そうなのだけれど、根が真面目なAはちゃんと年齢を聞いてから言えばよかったな、と言ってから思った。
ズズ、とジュースが空っぽになった音がする。
ゾムは一瞬黙ってどこか宙を見てから口を開く。

「うん、じゃあ敬語やめよ。」
「え？」

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