【d!】乙女ゲーム症候群 (ページ3)

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「いったい何があったん?」

間に入り、慣れたように仲裁役をこなす鬱宮。
生徒会でも似たような事をやっているのだろうか。

「叶ちゃんに睨まれたの!姫、何もしてないのに…」
「違うよ!睨んでなんかない!」

「まぁまぁ落ち着いて」

「放課後話そうや、そろそろ先生来るし」

それを聞き、4人は自分の席に戻っていった。

つまらない。そのまま喧嘩させておけばいいのに。
いいデータが取れると思ったのにな。

「おはよう、A」

作り笑いを浮かべる鬱宮。周りから見れば笑顔で挨拶をする好青年に見えているのか。

長年の付き合いの私が推測するに
(面白いものが見れなくて残念やったな)
とか考えてるのだろう。

『おはようございます、鬱宮さん』

内心では中指を立てつつ、いつも通りの挨拶をする。同じように作り笑いを浮かべて。

前の席に座った鬱宮を見ながら、乱れた心を沈める為に息を吐く。

正直、鬱宮と会話するのは癪に障る。
席が前後なのも今だに納得がいかない。

ふと、視線を向けられてる気がして右を見ると、慌てて茂上が目をそらした。

そんなので隠し通せるとでも思っているのか。

でもここで変に追求しても、警戒心が強まるだけ。
今回は知らぬふりをしておこう。

そういえば、鬱宮は誰側についているのだろう。

仲のいい黄瀬は広井に、同じく仲のいい捏島は甘井について。隣のクラスの天乃さんは広井、鳥井さんは茂上と聞いた。

広井はちょろそうだし、甘井は金持ちだし、茂上は……何だ? 運動神経がいいぐらいしか出ないな。

個人的な予想だと甘井か?

わからないな、どうしても鬱宮をがこの三人の誰かを好きになるとは思えない。

ちょうど先生が教室に入って来たので、考えるのを止めた。どうしても気になったら、鬱宮に聞けばいい。どうせはぐらかされるだろうが。

チャイムが教室に鳴り響く。
今日はまだ、始まったばかりだ。