【d!】乙女ゲーム症候群 (ページ4)

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つまらない授業を終え、昼休憩。食堂で昼ご飯を食べようと、席を立つと鬱宮が声をかけてきた。

「なあ、A 一緒にお昼ご飯食べへん?」

『……ついに頭イカれたのか』

高校に入学してから一度もそんなことなかったのに。しかも鬱宮から誘ってくるとは。どういう心境の変化だ? 明日は雪でも降るのだろうか。

『理由は?』
「……女の子避けに」

『相変わらずクソ野郎だな』

前言撤回、コイツは何も変わってない。
中学の時から何も。

「今日だけでええから、な? 頼むっ!」

手を合わせ、頭を下げてくる鬱宮。鬱宮がここまでして接触を避けたい奴は誰なのだろうか。

『じゃあ、条件がある』

食堂の空いている席。目立ちにくい窓際の席に鬱宮と向かいあって座る。

「Aは何にするん?」
『日替わり定食のAセットで』

私が提示した条件は私に昼ご飯を奢る事。鬱宮も想定していたらしく、あっさり条件を呑んだ。

少しして定食が届いた。今日の定食は魚メインの和食。鬱宮も同じものを頼んでいた。

「もっと高いもの注文すると思っとったわ」
『頼んでいいのか?遠慮してたのに』
「すいませんでした」

黙々と食べ進めてると、鬱宮がこちらを見ていた。

『……何見てるんだ?私の顔に何かついてるか?』

「Aと一緒に食べる日が来るとはなって」

それは私も同じだ。まさか鬱宮とまた飯を共にする日が来るとは思ってなかった。

「あ!!大先生、ようやく見つけた!」

そう言って駆け寄って来たのは、広井。にしても声がデカい、周りの人が見ている。

「……ああ、叶ちゃん。どうしたん?」

「もう!一緒にお昼食べようって言ったじゃん!」

避けたかったのは広井だったのか。

「さっき僕言ったやん、今日は先客があるって」

そう言って微笑む鬱宮。眼鏡の奥の冷ややかな目は広井を蔑んでいる。

「え!?ご、ごめん、忘れてた……」

完全に私蚊帳の外だな。煮魚美味いからいいけど。

「だからまた別の日に、な」
「で、でも私、生徒会の皆と食べたくて……駄目?」

あー、鬱宮が嫌がるのもなんかわかる。

可愛さや天然とかで全て許されてきたのか、こうしたら許されるって分かってるんだろう。

バカなのに、無駄な知恵はあるんだな。

「今日はAちゃんと約束してるから」

段々、鬱宮の機嫌が悪くなってきた。
そろそろ助け船出すべきかな。

「じゃあ、三人で食べませんか?」

「『は?』」