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昼休憩も終わり、5時間目。
5時間目は数学。
この先生は話は分かりやすいが、黒板を消すのが早い。ちゃんと板書をしていないと追いつけない。
「──では、この問題を……広井さん」
返事はない。見ると、教科書を枕代わりに熟睡している広井とそれを起こそうとしている黄瀬。
「広井さん、起きてください。広井さん」
「は、はい！」
ガタン、と大きな音を響かせて椅子から立つ広井。
教室中の視線が広井に向く。
先生はため息をついた。
「授業の時間は寝る時間じゃありませんよ」
「す、すみません……」
そう言って席に座る広井。
授業中に寝るとは呑気なことだ。少しすれば定期考査があると言うのに。
あんな奴が生徒会役員でいいのだろうか。
まあ、蜜に酔った馬鹿な男たちにまともな判断を期待するべきではない。
「愛されてるからって調子に乗りやがって」
「マジムカつくんだけど」
嫉妬した醜い獣まで出てきた。これだから女の嫉妬は怖い。
広井を見ると、呑気に隣の黄瀬と喋っている。獣の鳴き声は耳には届いてないようだ。可哀想。
本当に可哀想だ。
広井も甘井もそれに寄り添う生徒会も。
隣で興味ないふりして、その立場に憧れる
気づいてないと思ったか？お前がまともに授業を聞くふりをして、生徒会の奴らに目が向いてるのを。
広井のことを敵意を含んだ目で見ているのを。
「私に関わるな！」とか生徒会の奴らに言うくせに、生徒会の奴らが他の奴と絡むのは嫌なんだ。
矛盾してるように見えて、本心は一緒なんだろ？
生徒会の奴らに愛されたい。
愛されるのは自分だけでいい。
広井や甘井と変わらない。お前も立派な患者だ。
「静かに、授業に戻ります」
先生の一言で、獣も患者たちも勉強に戻る。
つまらない、もう少し放っておいてもいいだろう。
そう思ってしまうのは、おかしなことだろうか。
授業が終わり放課後。多くの生徒が部活や委員会ヘと向かう準備をしだす。私も例外ではない。
「広井さん、ちょっといい？」
クラスカーストが上の女子たちが広井の席を囲う。
人数は6人、全員熱烈な生徒会ファンだ。
「うん!どうしたの?」
「今日の授業のアレ、何?」
高圧的な態度。積もり積もった不満が爆発寸前なのだろう。表情も心なしか不機嫌そうだ。
「えっと……アレってどれ?」
そうだ、広井は馬鹿だった。
今にも手が出そうな女子。
対して何も分かってない広井。
これ、大丈夫か?
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作者名：山茶花 | 作成日時：2024年3月5日 17時
