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黄side


病院に着くと昨日まで元気に撮影とか、番組とかでていた阿部がげっそりしていた。

なんで病院なんかに呼ばれたのかと甚だ疑問でしかなかったが、病室に入って全てを悟った。
チューブに繋がれた阿部の彼女であるAさん。

そこまで面識はなかったものの、阿部の忘れ物を届けてくれたり、阿部から紹介を受けたり、そこそこ顔見知り程度に知り合っていた。
いつも阿部の隣でニコニコしているホンワカした女性。
阿部の好きそうなタイプだなと思いながらも祝福した。



『え、Aさんだよね、?』


「…うん」



佐久間がAさんにあった状況を聞き出すと、
どうやら相手側の不注意であり、
過失運転致傷罪で逮捕されたらしい。

とはいえ、端的に話す阿部は覇気がなく、
目の中の光も失っていた。

リーダーとして、俺に出来る最善の策なんて…
ホントにあるのだろうか。

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緑side


佐久間に説得させられて、少しずつ出来事を話した。



『…仕事、、終わって、不在着信来てたから…折り返したの。』



泣いているからなのだろうか。
声が出ない。言葉が詰まって上手く伝えられない。

もしも目の前にいるAが横に入れば、
こんなこと無かったし、
あったとしてもゆっくりでいいよと諭してくれるのに…


少しずつしか話すことが出来ない自分に嫌気がさす。
メンバーのみんなの方が、状況を知りたいはずなのに。



「…ゆっくりでいいよ阿部ちゃん。みんな待っててくれるから」



そう言って佐久間は俺の背中を摩ってくれた。
こんななんも出来ずただ泣いている俺に優しい言葉をかけてくれる佐久間は本当に良い奴。



『……ありがと、佐久間…』


「いいよゆっくりで。」



息を整えてもう1回話す。
今度は大丈夫。しっかり伝えなくちゃこの先俺が苦しくなる。



『…電話折り返したらこの病院からの着信だった。
Aが轢かれた。結構危ない状態だからすぐ来て欲しいって。

頭の中パニックになっちゃって、その後の撮影延期してもらって、急いで来たらお医者さんから、Aは記憶障害だって言われた。』



"記憶障害"
その言葉を出した途端メンバーは全員固まった。
無理もない。あんだけ目の前で笑っていた人がある日突然記憶障害になって忘れてしまうのだから。

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作者名:蒼空 | 作成日時:2024年3月25日 21時

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