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2滴 ページ3

◇◇◇◇

「失礼します」
父のいる書斎に入り軽く挨拶をする
こちらに気付いた父が慌てて私を椅子まで運んだ

「動くのもままならないなか、ここまで歩いてきてくれてありがとう」

まるで子供が初めて立てた時のような顔をしている父に頭を撫でられる
父の笑顔はひどく優しく、そして昔と変わらず暖かいものだった

「いえ…親不孝な娘ですし、これぐらい普通ですよ」
もっと動けたらいいのにそう罰が悪そうに言うと

産まれてきてくれただけで充分さと満点の返事をされた

私の向かいに座った父は改めて私の顔見て言った
「お前ももう18歳になるな」

「はい、3日後ですね」

そう言うと父は口をゆっくり開いて
「実は、18歳になったら是非とも嫁ぎにきて欲しいと手紙が来ててな」
と言った。はっきりと。

「………私にですか?」
思わず聞き返してしまった

どうして…私なんかを…

父はまた口を開く
「AはWT王国を知っているよな」
「ええ、もちろんです」

WT王国は戦力、情報、貿易、あらゆる面で優れている
吸血鬼が収める、吸血種が住む国だ

私の家族の大体がWT王国の貴族に嫁ぎに行っている
8年ほど前に大幅な代替えがあり挨拶をしに行ったのをよく覚えている

まあ、嫁ぐのは私だし。上級市民の方かな…?

「WT王国のどのお方ですか?お姿を見てみたいです」

吸血種のほとんどがプライドが高く独占欲が強いお方が多く
捨てられたり、殺されたりと。

いわゆるハズレを引いてしまうと身の安全は報奨されない

「それがなんだな」
ため息混じりに父が答える

「8年前に代替わりした新しき王だ」

「新しい王」

「しかも大臣も含め6人との」

「6人」

父の言葉をオウム返しし
頭を回す

……

ああ、血反吐を吐きそうだよ。お父様。

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るい(プロフ) - ラべシワさん» ラベシワさんコメントありがとうございます!3月からまた投稿を再開する予定なのでもうしばらくお待ちいただけると嬉しいです。レス遅れてすみません。 (2月16日 2時) (レス) id: 5dd37cc60d (このIDを非表示/違反報告)
ラべシワ - 凄く好みの小説です。本当にこのあとの続きが気になります。るいさん投稿頑張って下さい (1月16日 23時) (レス) @page5 id: 8585bd908d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るい | 作成日時:2023年12月7日 17時

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