76話 ページ26
『……え?』
「しばらく、魔物は入ってこれへんはず。コネシマも今はゆっくり寝とるよ」
結界魔術。
習得にかかる期間、約2年
シャオさんはそれをたったの2ヶ月で習得し、実行した。
『す、すごい』
「褒めてくれるっ?」
『うん、さすがシャオさん!』
「へへっ」
…少々甘えたになっているのは触れないでおくか。
『あったかいね』
「うん……っ、どっか、行くんやんなっ外おるってことは」
『…そうだよ。ちょっと用事。』
せっかくの再開をこんな短時間で終わらせてしまって申し訳ない。
でも、行かなきゃいけないんだ
名残惜しそうに手を握ってくるシャオさんの頭を撫でてあげた。
「んふふっ」と満足そうに笑う彼に手を振り、
街を出た。
夜中、霧の濃い森へと足を踏み入れる。
フィルおじさんに勧められた、人に会わないという森。
視界が少々悪く、何の気配もない不気味さが孤独という状況に深く刺さる。
この静けさは人を狂わせそうだ。故に誰も寄らないのだろう
風さえ吹かない
私が発信源の音以外は何も聞こえない。
不意に、目の前に小さな子供が現れたような気がした。
不明瞭な視界のせいでその姿をしっかり捉えることができない。
何故この時間に子供が出歩いているんだろうか
…そもそも、私は今 魔力を持っていない人と極力会ってはいけない。
だからこの森を歩いていたのに。
『えっ…と誰だろう。危ないよ』
「―――…勇、者?」
口を開いた子供は、枯れ葉をさくさく踏み鳴らしながらこちらへ近づいてくる。
ようやく捉えたその姿は、
あの魔族と同じだった。
ツノを持ち、白い影のような重い魔力を纏う。
私の前で歩みを止めると、霧は彼に支配されているかのように 晴れた空間を創った。
はっきりと見える足元は、小さなキノコや新芽など、
お伽噺のような世界だった。
どんなに綺麗な世界に立っていようと、今目の前にいるのは紛れもない魔族だ。
左腰の剣を抜き、魔族の彼の顔へ向ける。
『…今、時間ないんだよ。手短に済ませて欲しい』
「あ、違います。いや違わなくはないか……とっとにかく、僕は戦いません」
『は?』
素っ頓狂な声が出た。カシャンと鳴った剣を下ろす。
魔族というのは人間を殺しに来る災害ではないのか?
豪雪の山の魔族といい、「去りなさい」「戦わない」。
次に口を開いた彼は、名乗ると共に頼みを聞いてくれと訴えてきた。
「僕はロイ。勇者、
――――僕を、殺してください」
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天然記念ゴミ(プロフ) - ーーーさん» (^_-)-☆ (3月19日 2時) (
レス) id: bde2ec8f8b (このIDを非表示/違反報告)
ーーー - つ、つづきをくれーーー (3月18日 20時) (レス) @page26 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
こーど - めちゃ好き…面白いのになぜ伸びない… (12月28日 23時) (レス) id: 65133e32a9 (このIDを非表示/違反報告)
nu(プロフ) - 好きです…ありがとうございます……更新待ってます…！！ (12月27日 14時) (レス) @page8 id: b0397f8cd1 (このIDを非表示/違反報告)
アスカミ - 天然記念ゴミ様の別の作品の、「一目惚れ悪魔と，，，(略)」の転生モノだと思っていて…今回ようやく気付いて。それは出会っていなかったようなものなので… (12月25日 18時) (レス) id: 6edaad17fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天然記念ゴミ | 作成日時：2023年12月24日 15時
